Technical Dissertation No. 93

【空飛ぶ厄災】和瓦の隙間(雀口・ケラバ)がコウモリの「巨大コロニー」と化す理由

監修:害獣トラブル大辞典 専門家ネットワーク

夕方になると屋根の周囲を黒い影が飛び交い、朝になるとベランダに黒いフンが落ちている——それはアブラコウモリが、あなたの家の屋根の隙間を「安全なマンション」として利用しているサインです。

1. 瓦屋根特有の構造と「漆喰の剥がれ」

日本瓦特有の波打つ形状と、下地の板(野地板)の間には、通気性を保つための構造的な隙間が存在します。特に軒先の「雀口(すずめぐち)」や、屋根の側面の「ケラバ」と呼ばれる部分は、漆喰(しっくい)や面戸(めんど)で塞がれていますが、地震の揺れや経年劣化でポロポロと剥がれ落ちてしまいます。

2. コウモリが好む「1.5cmの隙間とザラザラした壁」

アブラコウモリ(別名:イエコウモリ)は、わずか1.5cmの隙間があれば潜り込めます。瓦の裏側や外壁のモルタルなど、爪を引っ掛けやすいザラザラした素材を好み、剥がれた漆喰の穴から屋根裏へ侵入して、数十匹規模の巨大なコロニー(集団巣)を形成します。

3. 建築士が提唱する「高所気密部材」による防衛

市販の忌避スプレーで追い出すことは可能ですが、彼らは「自分のフンの匂い」を頼りに必ず戻ってきます。百科事典が推奨するのは、追い出し完了後に瓦の形状に合わせて膨らむ「特殊発泡シーラー」や、通気穴の開いた「ステンレス製防鳥面戸」を設置し、物理的に入れなくする屋根改修工事です。

【建築士の視点】
瓦の隙間が開いた状態は、コウモリを招くだけでなく、台風時に下から吹き上げる強風によって「瓦が飛散する」最大のリスク要因となります。コウモリの防除工事(漆喰の詰め直しや面戸の設置)は、結果的に屋根の耐風性能を向上させ、建物の寿命を延ばす重要なメンテナンスとなります。
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